百合と擬似恋愛

okadaic

女子校の百合話。私の事例が標準的かどうかは知らんが、とても面白い心理なのでみんなに話したい。中学一年生の私は先に挙げたB先輩のことが本当に純粋に好きだった。恋していたと思う。男性芸能人(小室哲哉など)への気持ちを「擬似恋愛」と呼ぶなら、それとまったく同じものだ。 http://twitter.com/okadaic/statuses/788235441

okadaic

(承前)男の恋人のどこに惚れたかなんて、いざ挙げようとすると全然思い当たらないが、中学生のとき女性であるB先輩のどこに惚れていたかは、今でもすらすら語ることができる。まぁそのわかりやすさが「擬似」であって本物の恋愛でないことの何よりの証拠だけどね。 http://twitter.com/okadaic/statuses/788236330

okadaic

(承前)B先輩は図抜けて背が高く、色白で、黒髪をなびかせながら無駄のない動きでノシノシ歩く。今思えば演劇人の重心だ。私がいた委員会の長を務めており、まるく組んだ机の中心に彼女が座ると大変な迫力と安心感があった。女性相手に大変失礼だが、今思えばジョン・クリーズに似ている(笑)。 http://twitter.com/okadaic/statuses/788238585

okadaic

(承前)冷静に考えれば私とB先輩は<同じ制服を着たそう年齢の違わない10代の女子同士>なのだが、私は、性別も年齢も超越した「一個の人間」として彼女に見惚れた。これこそが<女子だけの集団>に独特の感覚だと思う。巷の百合モノはこの辺りを性に直結させて描くので少々違和感がある。 http://twitter.com/okadaic/statuses/788240705

okadaic

(承前)「女子校に擬似百合が蔓延る」ことは、単性集団に生じる歪な一体感、音のしないヒステリーのようなものだ。でも、少なくとも私の体験上は「刑務所でカマ掘られる」といった現象とは全然違う。同じ<異性の代替物>だけど<恋心の捌け口>であって<性の捌け口>ではない、というのかな。 http://twitter.com/okadaic/statuses/788242259

okadaic

(承前)女子校だったわが母校で「第二ボタン」にあたるものが、学年色の靴紐と、最上級生が運動会で使う紙製の花だった。普段は遠くから見ているだけの先輩に意を決して話しかけ、使い終えた靴紐と花を譲ってもらうことが「告白」の代わり。擬似恋愛の絶頂にして終焉だ。 http://twitter.com/okadaic/statuses/788244639

okadaic

(承前)靴紐(≒第二ボタン)は「それ以上望まない」ことの証でもあったと思う。後輩とてそこから同性愛的関係を要求するわけではない。あくまで学園生活の中でのみ、憧れる私/憧れられる貴女、を承認してもらう儀式。卒業する先輩は「私のでいいの?もらってくれてありがとね」と微笑むのが礼儀。 http://twitter.com/okadaic/statuses/788246059

okadaic

(承前)で、私は委員会でも数回しか話したことのないB先輩の靴紐(≒第二ボタン)を、顔を真っ赤にしながら譲っていただき、御礼の手紙を書いた。「いつも遠くからお姿を拝見し、貴女のようになりたいと憧れていた。卒業で離れ離れになっても、貴女に恥じない人間でありたい」というラブレターだ。 http://twitter.com/okadaic/statuses/788247597

okadaic

(承前)靴紐の御礼は、手紙とともにアクセサリーを渡した。これが面白い!つまり私は<性を超えて>B先輩に憧れたが、<告白>の儀式を終えた後は<同じ女性>と見なし、擬似恋愛に幕を下ろしたのだ。「大学で素敵な彼氏ができてデートのとき身につけても遜色ないもの」を選んだのを憶えている。 http://twitter.com/okadaic/statuses/788249547

okadaic

(承前)憧れの先輩の卒業とほぼ同時期に、今度は私が、顔を真っ赤にした後輩から「靴紐(≒第二ボタン)をください」と言われるようになった。歴史は繰り返す。私もまたチョコをもらい、ラブレターに「ありがとね」と返事を書き、「彼女たちに幻滅されるような先輩にはなるまい」と身を引き締めた。 http://twitter.com/okadaic/statuses/788250833

okadaic

(承前)まぁ結論として、当時の私(たち)の異様な気持ちの昂ぶりは、どう考えても「レズ」でも「百合」でもない。少なくとも私は、ジョン・クリーズ似の B先輩に、性的なものはまったく感じていなかった。単なる<私淑>である。でもその気持ちを<恋愛の手順>を模して告白するところが、ミソ。 http://twitter.com/okadaic/statuses/788252714

okadaic

(承前)思春期始まったばかりの女子にとって一番やってみたいことはガチの恋愛でも本番のセックスでもなく<恋愛の手順を踏む>ことなのですよ!! 恋文とか第二ボタンとか隠し撮り写真とか、恋の歌に歌われるあれらのギミックが欲しいだけ。自分が得て満足したら、今度は次世代に提供してあげる。 http://twitter.com/okadaic/statuses/788254459

okadaic

(承前)女子校時代の擬似百合体験は、まぁざっとこんな感じ。ちなみに「ジョン・クリーズ似」は、あくまで「背が高く色白」で「性を超えた存在に見えた」ことを示す誇張表現ですよ(笑)。実際のB先輩は16〜17歳の女子高生。たぶん客観的に見れば天海祐希みたいな雰囲気だったはず。 http://twitter.com/okadaic/statuses/788257830